死亡事故における被害者遺族の感情とは?

千葉で交通事故の被害者側の事件を専門とする弁護士の大薄です。

先日、池袋暴走事故の被害者遺族である松永さんのお話を聞く機会がありました。

私は交通事故の被害者側の事件を専門としているため、一般的な弁護士よりも、交通事故の死亡事故も多数対応してきた経験があると自負しています。

そんな私の経験に照らしても新しく勉強になる話がありましたし、逆に、私の経験に照らして被害者遺族として共通に問題意識を感じている話も確認することができました。

まず、新しく勉強になった話としては、メディア対応です。

一般的な交通事故は、死亡事故であっても、過失行為に起因するため、長期にわたってメディアの関心を集めることは少なく、メディア対応が問題となることはありません。

この点、池袋暴走事故は、都心の池袋という立地での死亡事故であったことに加えて、加害者の属性などが相俟って、メディアの多くが関心を寄せる事件となりました。

東京での事件となるため、東京弁護士会での支援ではありますが、重大事件の犯罪被害者がメディア対応などを含めた相談を事件直後から弁護士に実施できる制度の存在は、突然の事故により大切な家族を失った被害者遺族の助けとなるものであったとのことでした。

逆に、私の経験に照らしても共通に問題意識として感じることは事件後の事務手続きです。

被害者遺族は、突然の事故により大切な家族を失ってから間もなく、失った家族の死亡後の行政的な手続についての対応が求められます。

東京都では比較的手続が一本化されているようですが、多くの自治体では様々な窓口で手続を実施しなければならず、被害者遺族への大きな負担となっているとのことでした。

「何で被害者側が色々と手を煩わせなければならないのか…」

突然の事故により大切なご家族を失った被害者遺族の感情としては当然です。

交通事故の被害者側の事件を専門とする弁護士として、ご依頼を受けた事件は、少しでも被害者遺族の負担を軽減した弁護活動ができるよう尽力していきたいと改めて思いました。