高次脳機能障害とは?

 高次脳機能障害とは、脳の器質性精神障害です。器質性精神障害とは、脳挫傷など脳機能障害の原因が他覚的に明らかなものをいいます。

高次脳機能障害の評価のポイントは?

 高次脳機能障害は、意思疎通能力、問題解決能力、作業負荷に対する持続力・持久力及び社会行動能力の4つの能力の各々の喪失の程度に着目し、評価を行います。

高次脳機能障害の後遺障害等級の種類は?

 高次脳機能障害の種類に関しては、後遺障害の等級表上は、残存する症状に応じて、1級1号から9級10号までの等級が認められます。また、等級表上は明らかでないものの、脳挫傷等の痕跡が残存することを理由に後遺障害12級13号(頑固な神経症状を残すもの)が認定されたり、脳挫傷等の受傷歴があったことを考慮して後遺障害14級9号(神経症状を残すもの)が認定されることもあります。

高次脳機能障害の有無

 後遺障害の等級表上の高次脳機能障害が認定されるためには、①傷病名が、脳挫傷、びまん性軸索損傷、びまん性脳損傷、急性硬膜外血腫、急性硬膜下血腫、外傷性くも膜下出血、脳室出血のいずれかであること、②それらの傷病が、レントゲン、CT、MRI画像で確認できること、③当初の意識障害が少なくとも6時間以上続いていること、若しくは健忘あるいは軽度意識障害が少なくとも1週間以上続いていることを満たしている必要があります。

高次脳機能障害の程度

 高次脳機能障害が認められるとして、その程度の判断は、神経系統の機能の異常とそれに伴う社会行動能力の低下を総合して行われます。具体的には、神経系統の機能の異常は、MRI画像などにより行い、社会行動能力の低下は、主治医の神経系統の障害に関する医学的意見書や被害者の近親者が作成する日常生活状況報告書等により行います。

高次脳機能障害と賠償金額

 高次脳機能障害の後遺障害が認定されることで、後遺障害慰謝料、後遺障害逸失利益を請求することができます。また、認定された等級によっては、将来介護費などの費用を請求できる場合もあります。高次脳機能障害は、一般的に重度の後遺障害が認定される傾向にある後遺障害となります。そのため、弁護士に依頼するか否かで獲得できる賠償金額も大きくことなることとなります。

最後に

 高次脳機能障害の後遺障害は、後遺障害の有無や認定される等級の程度に応じて、賠償金額が数千万円単位で異なることが少なくありません。高次脳機能障害の後遺障害は、交通事故を得意としている弁護士であっても、高次脳機能障害を取り扱ったことがないという方が少なくないです。交通事故で高次脳機能障害にお悩みの方は、交通事故を得意とする弁護士に相談することをおすすめします(法律相談の流れはこちら)