過去に後遺障害が認定されている場合は再度の後遺障害の認定を受けることができないのか?
交通事故の被害者側の弁護士として専門的に活動している大薄です。
先日、裁判所で良い和解が成立したので、ご報告いたします。
事案の概容としては、被害者の方が停車している車両に乗車中、加害者のトラックから追突される事故にあって、首や腰を負傷したというものでした。
トラックによる追突ということもあって、被害車両の損傷状況からも事故による衝撃の程度が相応に大きかったであろうことが容易に分かる状況でした。
車両損害の修理範囲をめぐっての争いがあったこともあり、比較的に事故から近い時点での相談だったのですが、お話を伺ったところ、被害者の方は過去にも交通事故の被害にあったことがあり、そのときに首と腰に後遺障害が認定されたとのことでした。
この点、自賠責保険は、過去に後遺障害が認定された部位は、その症状が永久に残存することを前提とするため、その等級を超えるような後遺障害が残存する状況でない限り、過去の認定と重複して後遺障害を認定することはありません(後遺障害の永久残存性)。
もっとも、首や腰のいわゆる「むちうち」と呼ばれるような後遺障害について、裁判所の傾向としては、その症状の残存は5年程度とされることが相場となっています。
今回の被害者の方も過去の事故というのは10年以上も前の事故であり、現に、今回の事故にあう前まで、首や腰に症状はなく、特に治療も実施していない状況とのことでした。
そのため、治療を継続したものの、症状が残ってしまった場合は、裁判所の手続により後遺障害の認定を求める方針で進めることとしました。
半年以上の治療を継続したものの、首と腰の症状が残るような状況であったため、当初の方針に従って、裁判所の手続で後遺障害認定を求めたところ、無事にこちら側の主張が認められ、後遺障害14級をベースとする和解による解決を実現することができました。
過去に同じ部位で後遺障害が認定されていたとしても、個別具体的な状況次第では再度の後遺障害を受けられる余地はあります。交通事故の後遺障害でお悩みの方は、1人で悩まずに、交通事故を得意とする法律事務所にご相談されることをおすすめいたします。