高等裁判所で地方裁判所の判断を覆すことのできたケースの流れとは? その3
交通事故の被害者側の弁護士として千葉を中心に全国的に活動している大薄です。
前回、前々回の続きです。
高等裁判所では具体的にどのような経過をたどって判決に至ったのでしょうか?
まず、交通事故事件における高等裁判所での審理は、基本的に1回です。
地方裁判所で当事者双方の主張・立証(言い分や証拠の提出)は尽くされてるため、高等裁判所は地方裁判所の判断(事実認定や法的評価)の合理性を検証する機関となります。
それゆえ、当事者双方の不服の内容を確認して、審理を終了するという流れが一般的です。
今回も、例によって、高等裁判所での審理は1回で終了しました。
もっとも、少し特殊だった点は、初回審理の日程が双方が控訴をしてから、約8か月後であったということ(通常は約3、4か月後)と初回審理の終結から判決までが約2週間であったということ(通常は約1、2か月後)でした。
裁判所から和解の話が出ることもあるのですが、今回は特に提案もなく、あれよあれよと判決の日を迎えた結果、地方裁判所の判断を覆して、こちら側に有利な内容の判決を受けるに至ることができました。
前々回もお伝えしたように、地方裁判所から高等裁判所での審理に至る事件は、極めて稀(まれ)です。
交通事故の事件を非常に多く取り扱っている私でも、両手で収まる程度の件数を経験しているに過ぎませんが、いずれの事件も相当に印象深く私の経験として残っています。
高等裁判所での判決に至ったのみならず、その結果、地方裁判所での判断を覆すことができたという経験と地方裁判所での和解に応ずるか否かは、高等裁判所での見通しなども踏まえて検討することが重要であることをお伝えしたく、本ブログに投稿いたしました。