なぜ「0:100」の事故でないと弁護士費用特約が使えないと思っている人が多いのか? その2
弁護士の大薄(おおすき)です。
寒い日が続いていますね。
交通事故の依頼者さんには、季節の変わり目や寒いときには、特に痛みが強くなるという方も多いです。
私も高校野球をやっていたとき、寒くなると腰が痛くなる経験をしていたので、依頼者さんの気持ちがよくよく理解できます。
しっかり治療を受けて事故前の体を取り戻せるよう日々の業務において、できる限りサポートしたいですね。
さて、前回に引き続き、今回のテーマも、こちら!
「なぜ『0:100』の事故でないと弁護士費用特約が使えないと思っている人が多いのか?」です。
前回は、他人の法律関係を報酬を得る目的をもって処理できるのは、原則として弁護士だけである!
ということと、
例外として、保険会社は示談交渉を代理することが認められている!
ということを説明しました。
それでは、なぜ、弁護士でない保険会社が当事者に代わり示談代行できるのでしょうか?
解説します。
自動車事故を起こしてしまったとき、保険に加入していれば、ご自身が加入している保険会社が相手方に金銭を支払います。
そして、保険会社が相手方に支払った金銭をご自身に請求してくることはありません。
要するに、交通事故によりお金を支払うのは、保険会社ということになります。
例えば、田中さんと佐藤さんが交通事故を起こしたとします。
事故を起こした原因が田中さんと佐藤さんの双方にある場合、田中さんも佐藤さんも保険に加入していないとすれば、田中さんも佐藤さんも、自分が悪かった分だけ相手にお金を払わなければならないため、「田中さんと佐藤さんのいずれの方がより悪かったか」について一生懸命争います。
逆に、田中さんも佐藤さんも保険に入っている場合、当事者である田中さんと佐藤さんは、結局、保険会社がお金を払ってくれるため、「田中さんと佐藤さんのいずれの方がより悪かったか」について無関心かもしれません。
しかし、田中さんの保険会社と佐藤さん保険会社は、なるべく相手にお金を支払いたくないため、「田中さんと佐藤さんのいずれの方がより悪かったか」について一生懸命争います。
事故の当事者である田中さんと佐藤さん以上に、双方の保険会社が「田中さんと佐藤さんのいずれの方がより悪かったか」について、関心があることになります。
これを、業界用語では、「保険会社の当事者性」と言ったりします。
要するに、事故に対して、当事者に匹敵する(あるいはそれ以上の)強い利害関係があるということです。
強い利害関係がある以上、本人の利益を害さずに一生懸命頑張ってくれるはずだという構造が成り立つからこそ、例外的に、弁護士でない保険会社が保険料という対価をもらって示談交渉を代行することが認められているのです。
では、田中さんが信号待ちで停車中の佐藤さんに追突した場合など、田中さんが100%悪いという事故のときはどうでしょう?
田中さんの保険会社は、佐藤さんにお金を払わなければならないため、その金額をできるだけ低くしようとして頑張ろうとする動機がありますが、佐藤さんの保険会社は、佐藤さんがたくさんお金をもらえても何ら関係がないため、できるだけ高い金額を獲得しようという動機がありません。
佐藤さんの保険会社には、「当事者性がない」ということになります。
このような場合、佐藤さんの保険会社は、佐藤さんに代わって田中さんとの示談交渉を代行することができません。
週6日、朝も早くから夜も遅くまで働いている佐藤さん。
そんな佐藤さんにとって田中さんの保険会社と示談交渉するのは、正直面倒ですよね?
弁護士費用特約を付けていれば、我々が、佐藤さんに代わって示談交渉できない場合でも弁護士が代わりに交渉してくれるので安心です!
しかも、特約を付けても保険料の値上がりは月々数100円程度!
保険を契約するときに、このような勧誘を受けた結果弁護士費用特約を付けることとした方も少なくないと思います。
このような勧誘を受けて弁護士費用特約を付けた契約者さんは、「保険会社が示談代行できないときに、弁護士費用特約が使えるのね!」と思われると思います。
これが誤解の原因です。
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「どこが誤解なんだろう?」と疑問に思われた方もいるかもしれません。
続きは、次回とさせていただきます。