交通事故で耳鳴の後遺障害認定を受けるポイントとその後の賠償交渉で適切な補償を受けるポイントとは? その2
交通事故の被害者側の事件を専門としている千葉の弁護士の大薄です。
前回の続きです。
耳鳴の後遺障害で適切な補償を受けるポイントはどのような点にあるでしょうか。
1つの大きなポイントとしては、労働能力喪失期間が挙げられます。
労働能力喪失期間とは、後遺障害を負ったことにより、将来の労働能力の低下をどの程度の期間として設定するかという問題となります。
後遺障害12級は他覚的所見に基づく後遺障害となるため、一般的には「症状固定時から67歳までの期間と症状固定時における平均余命の2分の1のいずれか長い方」とされることが多いのですが、むちうちによる12級の場合などは時の経過による症状への慣れを理由に労働能力喪失期間が10年程度に制限されることもあります。
耳鳴の後遺障害の難しいポイントは、検査により症状の存在が客観的に明らかであるものの、症状の原因が明らかでないことが多いという点があげられます。
そのため、耳鳴による後遺障害に関する判例の集積が十分でないということもあって、労働能力喪失期間の考え方に関して裁判例の判断は未だに統一的でない印象があります。
それゆえ、賠償交渉の際には、落としどころをどのあたりに考えるかという点が非常に重要になってきます。
以上が耳鳴に関する後遺障害の認定ポイントと適切な補償を受けるポイントです。
次回は、このようなポイントを踏まえて、最近解決となった耳鳴の後遺障害に関する2つのご案件をご紹介させていただきます。