保険会社による事前認定は適切に実施されていますか? その2

交通事故の法律問題を専門的に取り扱っている弁護士の大薄です。

前回の続きです。

非該当の理由をみて、何故、非常に悪質であると憤ったのでしょうか。

伺ったお話を前提にすると、被害者の方は事故当日の病院でのレントゲン撮影で骨折は認められなかったものの、症状が続くため、詳細な検査をすべく事故10日後に実施したCT撮影で骨折が認められたという経過が想定されました(レントゲンは単発的な1部分の撮影となるため、連発的なCTと比較して骨折の見落としが生じやすいです)。

事故10日後に骨折の確定診断の根拠となるCT撮影が実施されていますから、後遺障害申請にあたっては、当該画像の提出は必須であるといえます。

それにもかかわらず、事前認定結果の理由書には、事故当日の画像の言及しかなされておらず、それ以降に撮影された画像の言及は一切ありませんでした。

画像が提出されていれば、何らかの言及がなされることが通常ですから、事前認定においては、事故当日の画像しか提出されていないことが容易に想像できました。

そのため、当事務所において、全医療記録を検討して、必要な画像を網羅的に収集して被害者請求により不服申立てを実施した結果、下肢関節の機能障害として後遺障害10級11号が認められました。もちろん、認定結果には画像所見の言及もありました。

「出すべき資料を出さないことにより適切な認定が受けられない可能性がある」という事前認定の弊害部分が露骨(ろこつ)に出た形となりましたが、結論的には、総額約900万円での解決に至ることができました(自賠責保険からの後遺障害保険金を含む)。

ここまで露骨に不合理な申請がなされることは稀(まれ)ではありますが、疑義なき後遺障害申請を実施するためには被害者請求を強くおすすめいたします。