当初0円の提示額が約950万円での解決となった法律構成とは? その1
交通事故の被害者救済を専門としている弁護士の大薄です。
先日、良い示談が成立したため、ご報告いたします。
ご相談者の方は、バイクで走行中に加害車両と衝突して負傷しました。
利き腕に骨折を伴う傷害を負う事故でした。
事故直後からのご相談・ご依頼でしたので、ひとまず通院治療を継続いただき、主治医の先生による症状固定の判断を待って、被害者請求による後遺障害申請を実施しました。
その結果、ご依頼者には、後遺障害10級7号(1手のおや指の用廃)が認定されました。
ご依頼者の方の受傷内容を踏まえると、これ以上の昇級見込みはなかったため、当該結果を踏まえて、相手方保険会社との示談交渉に移行することとなりました。
後遺障害が認定される事案では、後遺障害を残したことに対する肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金として後遺障害慰謝料が、労働能力の低下に対する賠償金として後遺障害逸失利益が請求できることとなります。
後遺障害慰謝料の金額が人により異なることは基本的にありませんが、後遺障害逸失利益は、その計算式が「基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間(に対応するライプニッツ係数)」となるため、特に、基礎収入や労働能力喪失期間によって人により異なります。
今回の依頼者の方は、家族従業員として家業の手伝いをしていましたが、年収(基礎収入)にすると約60万円に過ぎなかったため、相手方保険会社は、自賠責保険からの獲得金額を超えて、依頼者の方へ追加で賠償すべき金額は発生しないと主張してきました。
これに対して、こちら側はどのような主張で対応したのでしょうか。
長くなりましたので、続きは次回といたします。