高等裁判所で地方裁判所の判断を覆すことのできたケースの流れとは? その2
千葉を中心に、交通事故の被害者側の弁護活動を専門としている弁護士の大薄です。
前回の続きです。
それでは、どのような経過をたどって、地方裁判所の判断を覆す判決を高等裁判所で受けることができたのでしょうか?
まず、地方裁判所での事件を受任するタイミングが非常に特殊な事件でした。
依頼者の方は、訴訟前に相手方保険会社から提示された示談金額に不服で、ご自身で裁判を行っていました。
しかしながら、地方裁判所の裁判官からは、訴訟前に相手方保険会社から提示された金額を大きく下回る和解案を受けてしまいました。
(なお、裁判所は従前の結果・経過に拘束されずに判断を行う立場にあるため、従前の提示を下回る和解案を提示すること自体は特に否定されるものではありません。)
そのような和解案が提示されたことを踏まえて、今後どのように対応していけばよいかというご相談・ご依頼でした。
依頼者の方から伺った和解案の内容は、裁判所の傾向と比較すると、相当厳しいように思えたため、当該内容を覆すことを目指して、訴訟の途中から受任・対応するに至りました。
すでに提出されていた証拠や新たな証拠を踏まえて主張を補充した結果、判決前の和解案として、当初の相手方保険会社の提示額を若干上回る和解案の提示を受けるに至りました。
依頼者の方は、私に依頼する前よりは大幅に増額したことも踏まえて、相手方保険会社が応じるのであれば、裁判所の和解案に応じる意向を有していました。
しかしながら、相手方保険会社は、訴訟前の提示額を上回る内容での和解案は受けられないとのことでした。
そのため、判決による解決となったところ、結論的には判決前の和解案とほぼ同様の金額とする判断を受けることとなりました。
どちらかといえば、相手方保険会社が和解案に納得できず、判決に至った形ですが、こちら側も納得していた訳ではないため、双方が地方裁判所の判断に不服があるという形(双方控訴)で、高等裁判所での審理に移行しました。
それでは、高等裁判所ではどのような経過をたどって判決に至ったのでしょうか?
長くなりましたので、続きは次回といたします。