自賠責で後遺障害が否定された場合の対処方法 その2

前回の続きです。

事故前には、頸部痛の症状がなかったにもかかわらず、手術歴の存在を理由に、後遺障害が否定されてしまった場合、どのように対応すれば良いのでしょうか。

まず、自賠責保険の判断を覆すためには、大きく分けて、自賠責保険に対して異議申し立てを行うか、裁判所に自賠責保険の判断が誤りであることを訴えるかの2つの方法があります。

もっとも、今回のように、既存障害を理由として後遺障害を否定する判断に関しては、異議申し立てを実施したとしても、判断が変わらない可能性が高いです。

そのため、裁判によって、自賠責保険の判断を覆していく方法を選択しました。

裁判においては、自賠責保険の判断を覆す事情が必要なところ、今回の被害者の方に関しては、主治医の先生が協力的であり、事故後の症状は、事故前の症状と区別できるという趣旨の意見書を作成いただくことができました。

もちろん、裁判では、保険会社側の顧問医の見解に基づく反論の意見書も提出されましたが、診療録の記載内容なども総合考慮した結果、裁判所は、交通事故による後遺障害の存在を認めた上で、手術歴も考慮して、後遺障害の存在を前提とする損害額の7割を限度として認めるとの和解が提案されました(裁判所は、千葉地方裁判所でした)。

後遺障害の存在を認める内容の和解の提示であったこともあり、被害者の方も納得の解決となることができました。

裁判所で自賠責保険の判断を覆すことは非常に難易度が高いですが、今後も困難な状況でも諦めることなく、対応していきたいと思います。