後遺障害2級1号(随時介護を要する高次脳機能障害) その2

前回の続きです。

仮に、こちら側と相手方側の過失割合が「50:50」であったとします。

相手方からの提示金額は、約1200万円です。

人身傷害保険からの提示金額は、約3000万円です。

このようなケースでやってはならないことは、相手方からの提示金額を先に受領することです(人身傷害保険の有無の調査を失念することは、それ以上にやってはいけませんが…)。

交通事故を得意としている弁護士であれば、人身傷害保険からの提示額を先に受領することを検討します。訴訟前の時点での相手方提示の総損害額は、約3360万円でした。

そして、仮に、今回のケースで、人身傷害保険からの提示額を相手方からの提示額より先に受領したとすると、最高裁判所のいわゆる訴訟基準差額説に関する判例の前提議論をベースとした場合、人身傷害保険からの受領金額を自己の過失分に優先的に充当した結果、相手方からの獲得金額は、約360万円となります(なお、ここで紹介した最高裁判所のいわゆる訴訟基準差額説に関する判例の前提議論をベースとする交渉は、相手方保険会社との当事者間での話合いでは、解決できないことが多く、裁判所などの第三者機関を間にいれなければ、当該議論が通らないことが通常です。このような保険会社の運用自体も非常に問題と考えていますが、当該問題は、別の機会にブログに書きたいと思います)。

もっとも、当事者間の話し合いによる解決では、そもそもの総損害の金額が低いことが通常です。特に、後遺障害2級1号のように数千万円単位での賠償金額が問題となる事案では、当事者間の話し合いでは、適切な金額に引きあがることは極めて稀です。

そのため、このようなケースでは、訴訟に移行することを検討する必要があります。

ここで、交通事故を得意としている弁護士でも、交通事故を真に得意としている弁護士か否かで、検討を要すべき事柄が出てきます。

それは、どのような事柄でしょうか。

長くなりましたので、続きは、次回といたします。