後遺障害7級4号(高次脳機能障害)

先日、良い和解が成立したので、ご報告いたします。

場所は、交通事故紛争処理センター東京本部です。

事案の概要としては、交通事故により脳挫傷等の傷害を負った被害者の方(症状固定時のご年齢は約60歳、過失割合「10:90」)で、被害者請求による後遺障害申請の結果、後遺障害7級4号を獲得したものでした。

後遺障害7級4号という高い等級が認定されたので、例によって第三者を入れた解決方法でないと適切な金額に引きあがらないと判断し、紛争処理センターの手続きを利用して解決を図ることとしました。

今回の被害者の方は、定年前は損害保険会社に勤務していたこともあり、交通事故の被害者対応に関して明るかったのですが、後遺障害7級4号という認定は、ご本人様のイメージよりも高い等級が認定されたという感想でした。

ちなみに、このような感想は私も持っていました。医療記録などからすると、1つ下の等級である後遺障害9級10号あたりかなという認識でした。

案の定、相手方の保険会社は、医療記録からすると、後遺障害9級程度が相当であるとの反論を行ってきました。また、後遺障害申請前に保険会社が独自に主治医に対して実施した医療照会の結果が後遺障害7級の症状を認めるほどのものではないことを証拠として提出してきました。

率直に当該証拠はこちら側にとって相当に不利なものでしたが、主治医の先生に当該医療照会の回答の趣旨を確認した結果、短時間に極めて直感的な所見を述べたに過ぎず、後遺障害申請の際に提出した意見と矛盾するものではないとのお話をいただきました。

当該内容を証拠として提出した結果、後遺障害7級と9級の間である後遺障害8級相当の労働能力喪失率を基礎とした斡旋案の提示を受けられました。

高次脳機能障害には8級という等級が設定されておらず、紛争処理センターの斡旋担当の弁護士が本件の医療記録などを精査し、柔軟に提案した内容でした。

被害者の方とも協議した結果、斡旋担当の弁護士の提示する斡旋案を受諾することとして、無事に解決となりました。

高次脳機能障害は、短時間の接触に留まる主治医ではその障害の内容を十分に把握することができないこと自体は一般的に知られているところではあります。

医療記録を考慮した落としどころを見つけることは簡単ではありませんが、主治医の先生の見解も聴取して対応した結果、ご本人様も納得の解決となりました。

今後も被害者の方のお話に耳を傾けながら、専門家として適切な落としどころの法的アドバイスを提供し、より良い解決となるように尽力していきたいです。