ドライブレコーダーがあれば万事解決か?

交通事故の被害者救済に尽力している千葉の弁護士の大薄です。

ドライブレコーダーは、事故状況を客観的に保全するために非常に重要です。

しかしながら、ドライブレコーダーがあっても、解決に時間を要する場合があります。

先日、裁判所での和解により解決したご案件は、双方の車両にドライブレコーダーが搭載されていたものの、事故発生から解決まで、約1年半の期間を要しました。

センターラインのない住宅街における道路のすれ違い時の事故だったのですが、ドライブレコーダーの映像からは、こちら側の車両が道路脇で減速・停車してすれ違いを実施しようとしたのに対し、相手方は道路脇に寄ることなく、減速をすることもない状況でした。

私の見立てからすると、控え目に見たとしても、相手方の車両の過失の方が大きいことは明らかと考えましたが、相手方はこちら側の過失の方が大きいとして譲りませんでした。

こうなると、話し合いでの解決は難しいため、訴訟による解決へ移行することとなります。

結果的には、簡易裁判所で過失割合「こちら側:相手方=0:100」との判断がなされ、相手方が地方裁判所に控訴したものの、簡易裁判所と同様の過失割合による和解での解決となりました(こちら側は早期解決のため、遅延損害金等を多少譲歩しました)。

過失割合の他に修理費用の範囲・金額の争点もあったものの、ドライブレコーダーの映像という客観的な証拠があっても、相手方の対応次第では解決に時間が掛かってしまうことが避けられないということを身をもって体感した事件となりました。

また、今回の被害者の方は、弁護士費用特約を附帯していたため、弁護士費用についての自己負担なく対応することができましたが、仮に弁護士費用特約の附帯がなければ、費用面との兼ね合いで、ご依頼を受けて対応することは難しい事案でありました。

ドライブレコーダーの映像があっても、相手方の対応次第では、早期解決が難しいこともあり得ます。ドライブレコーダーの映像があるからといって安心せずに、万が一のトラブルのために、ご自身の自動車保険等には、弁護士特約の附帯をおすすめいたします。