交通事故の先行示談と医療鑑定による異議申立て その2
交通事故の被害者側の弁護士として千葉県内を中心に全国的にご依頼いただき活動している弁護士の大薄です。
前回の続きです。
足の甲を骨折された依頼者の方の後遺障害申請ですが、初回の結果は非該当でした。
主治医の先生の後遺障害診断書などからは、骨折部分の痛みが残っているとの意見でしたが、自賠責は認めませんでした。
首や腰以外の部位について、自賠責保険は、相対的に痛みによる後遺障害を認めにくい傾向にあると感じています。
もっとも、骨折部位の痛みに関しては、「当該骨折がどの程度のものであるか」という医学的判断がポイントとなります。
骨折の程度に関しては、医師の間でも意見が分かれることがある話ですから、医学的素人の弁護士にはわからない部分です。
そのため、自賠責保険の結論の妥当性について、当事務所の提携している鑑定医に医学鑑定を依頼することとしました。
今回は弁護士費用特約が附帯されていたため、医学鑑定の費用も、弁護士費用特約で支払われる形となりました。
医学鑑定の結果、自賠責保険の結果は妥当でなく、骨折部位の癒合は不完全であるから、後遺障害の認定が相当との意見でした。
それゆえ、当該意見書を追加の資料として、自賠責保険に対する異議申立てを実施しました。
そうしたところ、自賠責保険は非該当から14級9号の認定とするに判断を覆しました。
当事務所の鑑定医とともにかかる結果の妥当性も検討したのですが、裁判例の傾向も踏まえると、かかる結果を前提とする示談交渉も一考との結論となりました。
依頼者の方に当該結果を争うメリット・デメリットや今後の見通しを伝えたところ、かかる結果をもとにする示談交渉へ移行することを希望されました。
それでは、示談交渉の結果はどうなったのでしょうか?
長くなりましたので、続きは次回といたします。