公の営造物の設置又は管理の瑕疵(かし)とは? その2
交通事故の被害者側の弁護活動が専門の千葉の弁護士の大薄です。
前回の続きです。
それでは、サイクリングロードに瑕疵(かし)はないとして無責を主張する市側(の保険会社及び保険会社の弁護士)に対して、どのような対応で解決を図ったのでしょうか。
まず、事故現場に発生していた溝の状況を速やかに保全する必要がありました。
通常の交通事故事件では、実況見分調書や物件事故報告書などの警察が作成する刑事記録を速やかに取得して事故状況を把握します。
しかしながら、本件のような自損事故的な事故は刑事事件とならず、警察による実況見分調書などの詳細な報告書が作成されません。
そのため、当事務所が提携する事故発生状況の調査会社へ事故発生現場の溝の状況、事故発生状況の再現の写真報告書等の作成を速やかに依頼しました。
報告書の内容をみると、事故発生場所の溝の手前は雑草が所々生えており、自転車の利用者にとって、溝の存在は認識し難いことが分かりました。
また、溝自体も自転車のタイヤがぎりぎりはまる程度に細く、認識し難いことも分かりました。
次に、自転車の損害やお身体の損害に関する証拠資料(医療記録等)を収集する必要がありました。
もっとも、これらの対応は通常の交通事故事件と特に異なる点はなく、スムーズに資料の取り付けを実施することができました。
訴外交渉における市側(の保険会社及び保険会社の弁護士)の強弁な無責主張を踏まえると、話し合いでの解決は困難であることは明らかでした。
そのため、各資料が揃い次第、訴訟を提起して解決する方向で準備を進めることとしました。
それでは、訴訟はどのような経過をたどり、どのような解決となったのでしょうか。
長くなりましたので、続きは次回とさせていただきます。