裁判所の和解案に基づかない裁判上の和解?! その3

前回の続きです。

前回は、裁判所から過失割合を「原告:被告=65:35」として、金額的には、「被告が原告に対し、約120万円を支払う」ことを内容とする和解案が提示されたにもかかわらず、原告代理人弁護士と被告代理人弁護士の話し合いの結果、裁判所の和解案と異なり、「原告:被告=50:50」、「被告が原告に対し、約600万円を支払う」ことを内容とする和解が成立したところまでお伝えしました。

裁判所からすると、被告側がなぜこのような和解を受け入れたのか疑問だったかもしれません。しかしながら、裁判所が提示した和解案は、原告側・被告側の双方の代理人弁護士が中立的観点でみたときに、一見して原告が受け入れ難いと認識するほどあまりに原告側に厳しいものであったことは忘れてはなりません。

当然のことながら、裁判所の裁判官は機械ではありません。人間である以上、今まで経験してきた事件の種類や数により、適切な和解案を提示できるか否かに差が出てくることは当然想定することができますし、むしろそれが自然です。

今回は、原告側と被告側の弁護士が交通事故事件に関する経験に深かった結果、適切な和解での解決となりました。裁判をする場合、どこの裁判所で裁判するかという選択肢は限られていることが通常ですが、選択肢がある場合には、どこの裁判所で裁判をすることが有利かどうかを検討することも重要です。

裁判所や被告側の弁護士に交通事故の経験が深い者が担当するか否かは、被害者の方にはコントロールできない事情となります(交通事故の経験が深くない者が担当する方が被害者の方にとって有利な場合もあります)。

しかしながら、少なくとも、被害者側の弁護士が交通事故の経験に深い者であるかは、被害者の方がコントロールし得る事柄となります。

交通事故の被害に遭われた場合は、交通事故の経験が豊富な弁護士にご相談されることをお勧めいたします。