追突事故の被害による耳鳴りの症状を訴えた方で、事故前年度の収入が0円であったにもかかわらず、約760万円で和解が成立した事例
事案の概要
追突事故の被害による耳鳴りの症状を訴えた方で、被害者請求と賠償交渉の依頼を受けた結果、被害者請求により後遺障害12級(耳鳴)が認定され、事故前年度の収入が0円であったにもかかわらず、約760万円で和解が成立した事例(自賠責保険からの後遺障害分を含めると約984万円)
争点
①後遺障害の有無、②後遺障害逸失利益の有無
コメント
①耳鳴りによる後遺障害は、14級と12級の可能性があります。12級が認定されるためには、所定の検査が必要になりますが、所定の検査機器がない医療機関もあるため、検査が漏れていることも多いです。今回の被害者の方は、所定の検査結果の提出や症状の一貫性により、後遺障害12級が認定されました。当たり前のことですが、必要な検査を漏れなく実施したことが良い結果に繋がったと思います。②後遺障害が認定されると、原則として、後遺障害によって将来の労働能力が喪失することに対する賠償金を獲得することができます。これを後遺障害逸失利益といいます。後遺障害逸失利益は、一般的に、「基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数」で計算されます。被害者の方の事故前年度の収入は0円であったため、相手方保険会社は、0にどのような数字を乗じても0であるから、後遺障害逸失利益は、0円であると主張してきました。こちら側としては、被害者の奥様は専業主婦であること、お子様が複数いらっしゃること、借家の契約者の名義人は被害者の名義であること、被害者の通帳には、一定名義から一定金額が毎月振り込まれていることなどの証拠を提出することで、一定程度の基礎収入の存在を主張しました。争点が複雑であったため、民事調停による解決となりましたが、最終的には、こちらの主張を汲んで一定程度の金額の基礎収入が認められました。簡単に諦めることなく、周辺事情を客観的な証拠により積み上げられた点が良い結果に繋がったと思います。
弁護士費用
後遺障害申請と賠償交渉を受任の範囲として、「後遺障害が認定された場合には、27万円+獲得金額の12%」、「認定されなかった場合には、18万円+獲得金額の8%、ただし、獲得金額と自賠責基準の差額の50%を上限とする」という内容で契約し、後遺障害が認定された結果、消費税や実費を控除して、お手元に約800万円が残った。