会社役員は休業補償をもらえないのか?という相談から・・・
千葉で交通事故の被害者側の弁護士をしている大薄です。
先日、非常に良い示談が成立したので、ご報告いたします。
ご相談者の方は、交通事故の被害で通院治療を余儀なくされました。
通院治療の終了後に保険会社から示談書が送付されましたが、休業損害は0円でした。
これは、ご相談者の方が会社の役員であり、役員報酬の減額がないからという理由でした。
ご相談者の方は、事故当初より、相手方の保険会社からそのような話を繰り返し受けていたものの、どうしても納得できないとの理由から、当事務所へのご相談に至りました。
詳細なご事情を伺ってみると、役員とはいえ、家族経営の小規模な会社であり、ご相談者様の実態は、経理事務に従事する職務であったことが分かりました。
役員報酬に対して休業損害が発生しない場合の理論としては、平たく言えば、マネージメントに対する対価は事故による休業が生じても減収の影響が少ない点にあります。
今回の被害者の方はマネージメントのような業務内容ではありませんでした。
そのため、通常の従業員と同様に休業損害を請求できる余地があると考えました。
もっとも、もう1つ踏み込んでご事情を聴取したところ、ご相談者の方は、会社の経理のみならず、兼業主婦として、家事労働も行っているとのことでした。
今回の被害者の方に関しては、役員報酬の金額と家事従事者としての金額を比較したときに、家事従事者として請求した方が、よりよい賠償金が獲得できる試算となりました。
それゆえ、家事従事者としての休業損害を交渉したところ、当初約36万円であった示談金額が、約125万円で合意することができました。
直接的なご相談内容に回答するのみならず、周辺事情を踏まえた一歩踏み込んだ提案が良い解決に繋がったため、ご相談者の方としても納得の解決となりました。
交通事故の被害に関する問題は、交通事故の被害に関する法律問題を得意としている弁護士に相談することを強くおすすめいたします。